Show notes
「息子の結婚」という詩を読んでいると、永瀬さんの息子を思う母親としての姿が目に見えるようです。大切な息子が結婚をする喜びとともに、結婚そのものへの複雑な思いが浮かび上がってきているからです。天空をかけめぐることを夢見た星座の娘であった永瀬さんといえども、母となれば息子の思いを受けとめつつも、自分の元から離れていくさびしさにやるせなく割り切れない思いを抱かずにはいられないのです。永瀬さんは、結婚後に風邪で高熱を出した息子が十日ほど寝込んだ時のことを、こんなふうに書いています。その時「お母さん、お母さん」と夢中でよんだので、妻君にあとでおこられたと言った。「じゃあよかったね、マリコさんとかミチコさんとか呼ばないで」と私は言った。そしてやっぱり満足であった。(「同窓会・大工・すみれ・母親(一九七三年)」『うぐいすの招き』れんが書房新社 1983年)息子が「お母さん、お母さん」と夢中で呼んでいたことを、「やっぱり満足であった」と書かずにはいられない永瀬さん。母親ならではの思いがうかがえます。<文・白根直子>

