永瀬清子の世界
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#58 「一日、昔の風が」
3 minutes Posted May 6, 2025 at 2:30 am.
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永瀬さんが昔の自分に語りかける詩は、読む人々の心に深く訴えかける力を持っています。この詩の中で、若い頃の「私」を「お前」と呼ぶことで、かつての自分と今の自分との間で内省するように対話をしているのが印象的です。「さびしくふるえがちな/一本の苗木」が成長して年輪を増やし、外側に堅い層を持つことで中身を守るという自然の姿に、人生の歩みを重ね合わせているのです。また、過去の自分にもう一度会いたいという思いは、年齢を重ねた人ならではのものでしょう。とりわけ、「神様が返してあげようとおっしゃっても/その青春を返して貰うまいと思っていたのだ。」からは、過去を振り返らず、ひたすら前に進む生き方を選びとった「私」の姿が浮かび上がってきます。そうした強さや覚悟のもと生きてきた「私」が、過去に置き忘れていた「お前」のことをふと思い出したのは、懸命に生きてきたからこそ、振り返る余裕が、やっと生まれてきたからなのかもしれません。<文・白根直子>