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ケビン・ウォーシュ氏は、FRB議長として初めて臨んだ会合で、ガイダンスの提示に慎重な姿勢を示しました。弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが、この新たなアプローチがもたらし得る影響について考察します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが、FRBが市場の想定ほど動かない可能性がある理由、そしてそれでもボラティリティが高まる可能性がある理由についてお話しします。このエピソードは6月24日にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。先週、米連邦準備制度理事会、FRBは、新議長ケビン・ウォーシュ氏の下で初めてとなる会合を開きました。内容は期待を裏切らないものでした。FRBの経済見通しでは、前回3月時点と比べてインフレ見通しが大幅に引き上げられ、それに伴い、利上げの根拠もはるかに強まりました。場合によっては複数回の利上げもあり得る、という内容です。経済に対する見方や政策判断の理由を示すFRB声明も大きく変更され、同時にかなり簡潔なものになりました。弊社では、FRBが今回の会合で示唆した利上げを最終的に実行するとは考えておらず、今年は政策金利を据え置く選択をするとみています。ただし、FRBが据え置くというシナリオであっても、ボラティリティの上昇につながる可能性があると考えています。この一見矛盾しているように見える点について、それぞれ説明してみたいと思います。まず、FRBがインフレを懸念していることは確かです。インフレ率はかなり長い期間にわたって高止まりしています。ただ、数字を詳しく見ていくと、弊社のエコノミストは、今年の残りの期間のインフレ率について、FRBが現在見込んでいるよりも低くなると予想しています。したがって、FRBが自ら見込んでいる高いインフレ率を前提に利上げを想定するのは十分に妥当だと考えますが、弊社のより低いインフレ見通しが最終的に正しければ、FRBは異なる結論に至る可能性があるとみています。少なくとも弊社の見方では、この考えを支える材料として、FRBの一部の見通しが作成された後のここ数週間で、エネルギー価格が大きく下落したことが挙げられます。市場では、ペルシャ湾岸地域で既存の石油生産が再開されるだけでなく、イランが米国との新たな合意の下で輸出を大幅に増やす可能性があるとの見方が強まっているためです。そうなれば、米国、欧州、アジアにおける基調的なインフレ圧力の一因が大きく和らぐことになります。インフレ率が懸念されていたほど高くならないとすれば、FRBにとって最も自然な選択肢は、利上げではなく、今年は据え置きを続けることだと弊社は考えています。では、FRBが何もしないのであれば、それがいったいどのようにボラティリティを高めるのでしょうか。この問いへの弊社の答えは、FRBが「やらない」もう一つのことにあります。それは、今後の金融政策の方向性について、これまでほど多くの情報を提供しないということです。実際、金融危機以降、FRBはしばしば、いわゆるフォワードガイダンスを積極的に示し、将来いつ、どのように政策を変更する可能性があるのかについて、かなり詳しく説明してきました。支持する立場からは、これはサプライズを避け、政策の波及を円滑にするための手段と見なされてきました。一方で批判的な立場からは、政策運営を縛るものであり、市場に誤った安心感を与えかねないものと見られてきました。新FRB議長のケビン・ウォーシュ氏は、こうした批判派の一人であり、フォワードガイダンスを大幅に減らすと約束しています。FRBが次に何をするかについて、これまでのように手取り足取り市場を導かなくなることは、大きな変化です。FRBのバランスシートが縮小する可能性や、インフレの行方、さらにAIと生産性への影響をめぐる大きな不確実性がある中で、今後は一つひとつの経済指標が、市場の見方を動かす力をより強く持つことになります。弊社のストラテジストは、こうした状況が2年金利のボラティリティ上昇に加え、為替市場のボラティリティ上昇にもつながると考えています。なお、ここ英国では、この逆説はそれほど不思議なものではありません。英国では、イングランド銀行の政策金利は12月半ば以降、同じ水準に据え置かれています。それでも、英国の2年国債利回りは100ベーシスポイントを超えるレンジで推移してきました。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。



