市場の風を読む
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Morgan Stanley
投資家が見過ごしているかもしれない市場の変化
9 minutes Posted Jun 30, 2026 at 7:00 am.
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株価の上昇がほかのセクターにも広がっている背景と、投資家はポジションを素早く構築すべきだ――弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンがそう考える理由を説明します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、株式市場のけん引役が代わりつつあることについてお話しします。このエピソードは6月30日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。何が起きているかがはっきり見えているのに、投資家はまだそれを十分に認識していません。市場では、相場のけん引役が交代しつつあります。そしていつものように、交代しつつあることを誰もが認めるころには、容易に得られる利益を誰かがもう手に入れてしまっていることでしょう。今年に入って弊社とほかの市場参加者との間に生じた見解の違いのうち、最も重要だったのは、景気と企業業績の両方において弊社の見通しが市場コンセンサスよりもかなり強気であることでした。弊社の見解の土台になったアイデアは、いずれもシンプルながらも強力でした。3年に及んだローリング・リセッションの後ゆえに変化率が大きくなりやすかったこと、むだのない引き締まったコスト構造、鬱積した需要の存在、投資優遇措置や減税による財政支援、銀行業の規制緩和、そして金融環境が流動性供給チャネルを通じて景気をますます下支えするようになったこと、などがその主なところです。     こうした要因が重なったことから、景気循環の典型的な初期段階が始まる体制が整ったように見えたのです。むだのない引き締まったコスト構造を有する企業で売上高が再び増加に転じれば、強力な営業レバレッジがはたらいてトレンドを優に上回る増益が実現します。いま起きているのはまさにそれです。S&P1500種株価指数の構成銘柄の増益率を高い順に並べてみると、そのメジアン(中央値)にあたる企業の増益率は2桁で、コロナ禍後のブーム以降で最も高い伸びであることが分かります。売上高の増加傾向も回復しており、メジアンに当たる企業の売上高も7%増えています。多くの投資家がまだ気づいていないところで「ローリング・リカバリー」が姿を現しているのです。今年の大半の期間、特にここ数ヵ月の間、ほとんどの投資家はこの話を聞きたがりませんでした。イラン紛争で原油価格が急騰しましたし、利下げ期待は利上げ予想に転じました。こうした向かい風に直面した投資家はAI関連銘柄に、特に半導体やメモリーの関連銘柄の売買に雪崩を打って舞い戻りました。たしかに、半導体関連企業の業績見通し上方修正には目を見張るものがあります。売買の対象を元に戻すのは理にかなった動きでした。しかし、最も多く所有され、最も好まれ、かつ市場で最も目立つ分野になってしまうと、市場を良い意味で驚かせることは難しくなってしまいます。今はちょうどその状況にある、と私はみています。ハイパースケーラーの株価がアンダーパフォームし始めましたが、これはAI設備投資ブームの主要な受益者である半導体関連銘柄にとって、早期警戒警報であるのかもしれません。その業績見通し修正の広がり方は、過去の極端な状況をも上回るほどです。繰り返しになりますが、これはAIサイクルの終わりを意味するものではありません。しかし、変化率がピークに達しつつある可能性を意味しています。また、商いを伴いながらも株価のモメンタムが弱まり始めるときには、大幅な下落に至る場合があります。さらに、市場のほかの部分が一息つけるようになる場合もあります。端的に言えば、売買のすそ野が再び広がることになるのです!均等型指数や小型株指数が再びアウトパフォームしています。それ以上に重要なのは弊社が推奨してきたグループ――一般消費財、運輸、地方銀行――が、投資家のポジションや心理がまだ中立からネガティブにとどまっているにもかかわらず、すでにここ6週間で相対的な強さを見せ始めていることです。株価の動きが良くなってきた、業績も改善しているが投資家はまだ懐疑的――これこそ私好みの組み合わせにほかなりません。私が消費者の動向について比較的強気である理由の一つは、以前から原油について比較的弱気であることに求められます。この見方は、米国とイランのグランド・ディール次第で変わるものではありませんでした。取引がなされたことはたしかに追い風になりましたが、シグナルはすでに出ていたのです。北海ブレント原油とウエストテキサス・インターミディエート(WTI)のスプレッドが縮小し、紛争が始まったその日からエネルギー株はアンダーパフォームし始めました。報道が裏付ける前から、市場は私たちに何かを伝えていたのです。より長期的に言えば、この紛争は世界に警告を発しているのだと私はみています。ホルムズ海峡周辺の隘路(あいろ)は解消しなければならない、という警告です。世界はこのリスクをもう容認しません。新たなルート、新たな供給源そして新たなエネルギー戦略がいずれ姿を現すでしょう。必要は発明の母と言いますし、私はこの世界の適応力を過小評価していません。そして、石油問題の背景のうち比較的問題の少ない部分は、株式売買のすそ野を広げるのに寄与します。FRBも同じです。少なくとも金利については寄与すると言えます。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は2つのことを告げていました。ひとつは、フォワード・ガイダンスが今後縮小されるということ。もうひとつは、FRBの今の反応関数は明らかにこれまでよりもインフレを重視しているということです。私自身は、FRBはエネルギー価格の下落、関税関連のインフレのピーク越え、サービス業と住宅のインフレ封じ込めという3点を受けて年内の利上げを回避し、政策金利の据え置きを続けるとみています。もしその通りになれば、株式市場にとっては実質金利が想定を下回るポジティブ・サプライズとなり、株価上昇のすそ野を広げる追い風のひとつになる可能性が出てきます。この点で最も注意すべき変数は流動性です。足元では実体経済が設備投資のためにより多くの資本を必要とし、市場は株式やクレジットの供給増加に対応しているわけですが、新議長の率いるFRBが金融機関のバランスシートを以前ほど予防的に下支えする公算は小さいでしょう。これこそ当面のリアルなリスクです。人気を博しているモメンタム・トレードにとっては特にそうです。まとめましょう。来月の株式市場は変動が大きく、指数レベルでは弱く見える場面もあるかもしれませんが、その背後に隠されたメッセージは改善しています。業績拡大のすそ野が広がりつつあり、原油価格は下落しています。変化はすでに始まっており、参加者の多いモメンタム・トレードがぐらつく一方で、ファンドなどの保有比率がベンチマークのそれよりも低い銘柄が市場をリードし始めています。投資家は、こうした動きがもっと確実になるまで待つこともできますが、そうした動きが明白になって株価にフルに織り込まれる前にポジションを組み替えることもできるでしょう。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。