市場の風を読む
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Morgan Stanley
AIのチップフレーションは政策で解決できるか
7 minutes Posted Jun 17, 2026 at 7:00 am.
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AIによるメモリー需要の高まりにより、半導体はインフレ要因となっています。弊社米国公共政策ストラテジストのアリアナ・サルバトーレが、その圧力を和らげるために政策当局が何をできるのかを考察します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社米国公共政策ストラテジストのアリアナ・サルバトーレが、チップフレーションと、メモリーのボトルネックに対応するために使える政策手段、そして使えない政策手段について解説します。このエピソードは6月17日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。先週、私の同僚であるショーン・キムが、チップフレーションとメモリー価格の急騰についてお話ししました。本日は、政策当局がこれに対して何ができて、何ができないのかを掘り下げます。リスナーの皆さんもご存じのように、AIインフラはメモリーチップに依存しているため、メモリーチップはますます戦略的な資源になっています。そして、ある資源が戦略的な意味を持つようになると、政府が関与する傾向があります。課題は、政策は一定の助けにはなっても、おそらくこの問題を短期間に解決することはできない、という点です。その理由は3つあります。第1に、多くの米国の政策手段はいずれも時間がかかります。直接補助金、税額控除、調達保証、許認可の迅速化はいずれも、新たな製造工場、パッケージング施設、検査能力を支えることができます。しかし、メモリー供給が一夜にして現れるわけではありません。こうした新たな能力は、建設し、設備を導入し、認定を受け、生産を立ち上げる必要があり、そのプロセスには何年もかかる可能性があります。第2に、中国は従来型メモリー市場で一定の供給を増やせるかもしれませんが、AI需要によって生じたより大きな需給ギャップを埋めるには十分ではありません。これは、最先端AIシステムにとってより戦略的な種類のメモリーである高帯域幅メモリーについて、特に当てはまります。この分野の供給はなお高度に集中しており、技術的にも複雑で、規模拡大が難しい状況です。第3に、弊社の基本シナリオでは、米国の政策は緩和されるのではなく、むしろより制限的なままであるとみています。この技術の戦略的重要性を踏まえると、輸出規制が広範に緩和されるとは考えていません。むしろ、政策当局は短期的な価格抑制よりも、サプライチェーンの強靱性、信頼できる生産能力、そして地政学的リスクの低減を引き続き優先する可能性が高いと考えています。ここで政策の観点からは、メモリーを2つのカテゴリーに分けて考えることが重要だと弊社はみています。1つ目は、AI向けの戦略的メモリー、すなわち高帯域幅メモリーと先端DRAMです。これは、最先端AIシステムを可能にするメモリーです。そのため、この分野の政策は、戦略的能力を守り、地政学的な脆弱性を抑え、米国および同盟国における信頼できる供給を拡大することに重点を置く可能性が高いと考えています。2つ目のカテゴリーは、コモディティまたはレガシーメモリーです。これは、自動車、産業システム、民生用電子機器、その他の最先端ではない用途で使われるメモリーと考えることができます。この分野では、政策当局は、差別化されたライセンス供与や重要セクターへの的を絞った支援など、より柔軟な選択肢を検討し得るとみています。ただし、それでも制約は実務的なものです。すなわち、許認可、人材、装置、認定サイクル、そして生産リードタイムです。中国はもう1つの大きな変数です。中国メーカーは従来型DRAMとNANDで生産を拡大しています。一部の消費者向け用途では、AI関連需要によって締め出されてきた買い手にとって、この供給が逃がし弁のような役割を果たす可能性があります。それでもなお、限界はあります。政策面で支援があったとしても、中国メーカーは歩留まりと技術の面でギャップに直面しています。そして、中国だけで高帯域幅メモリーのボトルネックを解消することはできません。規制環境もこの点を裏付けています。一部の中国メモリーメーカーは、引き続き米国の制限措置、あるいは一段と厳しい監視の対象となっています。最先端のリソグラフィー装置へのアクセスも、依然として厳しい上限となっています。そのアクセスがなければ、最先端メモリーの規模を拡大することは、はるかに難しくなります。したがって、結論はこうです。政策はチップフレーションを和らげることはできますが、短期間で終わらせる可能性は低いでしょう。AI向けの戦略的メモリーについては、政策当局は制限を緩めるよりも、アクセスを守り、同盟国との連携を深め、信頼できる生産能力を促す可能性が高いとみています。コモディティメモリーについては、的を絞った柔軟性をある程度持たせる余地があるかもしれません。ただしもちろん、地政学とタイミングは依然として重要です。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。