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このところインフレが加速していますが、今後の見通しは悪くないかもしれないとモルガン・スタンレーではみています。なぜそのような、ほかとは異なる見方になるのか、弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツがご説明します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが、インフレはこのところ加速しているものの、今後の見通しは悪くないかもしれないと考える独自の見方についてお話しします。このエピソードは6月11日 にロンドンにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。今日は物価についてお話しします。何もかもがいまだにこんなに高いのは、いったいなぜなのでしょうか。 FRBには、いわゆるデュアル・マンデートというものがあり、労働市場を健全な状態に保ちつつ物価を安定させる使命を負っています。現在は、後者よりも前者のほうではるかに大きな成功を収めているという状況です。 では、良い知らせから見ていきましょう。 6月5日金曜日発表の米雇用統計は堅調で、AIやそのほかの要因で企業が従業員数を減らすのではないかという今年に入ってからの懸念が、いくらか緩和されました。失業率はわずか4.3%という歴史的な低水準にとどまっており、新規失業保険申請件数などほかの指標でも解雇の大幅な増加は示されていません。しかし、米国労働市場の成功はインフレで苦戦していることの裏返しです。FRBはインフレ率、すなわち幅広い品目の価格からなる物価全体の年間上昇率を およそ 約2%にとどめようとしています。またそうした物価の指標のなかでも、いわゆる個人消費支出(PCE)インフレ率を重視していますが、この指標は過去3ヵ月間、6ヵ月間、12ヵ月間、実を言えば過去5年間、 およそ 約2%という目標を大きく上回り続けているのです。インフレの主要指標にはもう一つ、消費者物価指数(CPI)に基づくインフレ率があります。6月10日水曜日に発表された5月の総合指数のそれは4%を超えていました。市場予想には近かったものの、FRBが望んでいる水準を大幅に上回るペースで物価が上昇していることに変わりはありません。ここでひとつのジレンマに突き当たります。まず、現在の高いインフレ率は、現在の金利水準では金融がとにかく緩和されすぎていることを示していると診断できます。企業の設備投資と企業買収は急増していますし、規制は緩和されており、米連邦政府は歳入を上回る額を支出しています。これらはすべて景気循環が拡張期にあることと符合しており、昔であれば、景気をより持続可能な速度に戻すための金利引き上げが正当化されていたでしょう。しかし、話はそれほど単純ではないかもしれません。今日見受けられるAIデータセンターへの投資急増はかなり特異なものであり、ほかの要因にはほとんど反応しないように見受けられます。実際、メモリーの価格はここ1年間で700%も上昇していますが、このデータセンター建設需要の減速にはほとんど寄与していません。発注者である大手企業は資金を潤沢に持っているうえ、将来成功するにはこのAIデータセンターの整備が必要不可欠だと考えているからです。米国の消費者もまだお金を使っています。家計の富が記録的な水準にあることが追い風になっているのかもしれません。例えば、弊社の株式リサーチの同僚たちによれば、航空旅客運賃はここ1年で25%上昇しているものの、旅客機の利用が減る兆しは見られないそうです。こうしたことから、コンピューター・メモリーや旅客航空運賃のように大幅な値上がりが目立つ品目がある一方で、住宅費や関税で打撃を受けた品目の値上がりが鈍り、総合的なインフレは年末に向けて改善することになりそうです。これは弊社モルガン・スタンレー全体の見解であり、弊社のエコノミストは今後12ヵ月間でインフレ率は最終的に低下する、しかも多くの市場関係者の予測水準よりも低くなるだろうとみています。しかし、そこには間違いなく不確実性が伴います。今月6月は、複数の中央銀行が気持ちも新たにインフレ抑制に取り組んでいるように見える月になるかもしれません。ECBは6月11日木曜日に利上げを行いましたし、日本銀行も6月15日の週に利上げに踏み切ると弊社は予想しています。FRBは緩和バイアスを削除することになるでしょう。そして、弊社はインフレが改善するとの見方を景気の基本ケースシナリオにしていますが、これは原油が近日中にホルムズ海峡を通って出荷されることを前提としてます。この前提通りにはならない可能性があります。その場合は、インフレ圧力がさらに続く事態になるかもしれません。インフレの大きな流れはまだ去っていません。弊社は、向こう12ヵ月間に債券利回りが低下して株価が上昇すると予測していますが、その主要な前提として、今年下半期にはインフレ圧力が弱まる可能性があるという、ほかの市場関係者とは異なる見通しを立てております。ですが、この見通しは現状が変化することに依存しています。それに今の時点では、インフレ率はまだ高すぎる水準にとどまっています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。



