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AI需要が急増するなか、弊社アジア・エネルギー・アナリストのマヤンク・マヘーシュワーリーが、現代の暮らしを支える電力、燃料、送電網、蓄電を確保するために始まった数兆ドル規模の新たな投資サイクルについて解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社アジア・エネルギー・アナリストのマヤンク・マヘーシュワーリーが、AIの急速な成長によって、アジアでは送電網、燃料、蓄電、そして安定したエネルギー供給と発電能力における大規模なエネルギー増強が必要になっていることについてお話しします。このエピソードは6月9日にシンガポールにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。AIにメモの下書きやファイルの要約、旅行の計画、あるいは画像の生成を頼むたびに、その応答は瞬時で簡単に感じられます。しかし、その背後には極めて物理的なシステムがあります。すなわち、データセンター、電力、冷却設備、燃料、金属、送電線、貯蔵タンク、そして船舶です。エネルギーなしにAIは成り立ちません。そしてアジアでは、電力とエネルギーの必要量が今後さらに大きく膨らむ可能性があります。今まさに、エネルギー、AI、安全保障が交差し、一世代に一度あるかないかの投資サイクルへと収れんする重要な転換点を迎えています。弊社では、今後5年間でエネルギー分野への新規投資が5兆ドル以上に達するスーパーサイクルが到来するとみています。これは過去10年間に見られた水準のほぼ2倍です。しかも、これは世界全体に影響を及ぼします。アジアは世界のエネルギー需要のほぼ半分を消費している一方で、域内で生産しているのはおよそ3分の1にすぎないからです。エネルギー市場がグローバルであっても、エネルギー不安はローカルな問題です。それは電気料金、燃料不足、工場の遅延、食料供給への圧力、そして家計の負担という形で表れます。2030年までに、アジアのエネルギー使用量はおよそ38エクサジュール増える可能性があります。この増加分は、中東が現在消費している全エネルギー量にほぼ匹敵します。電力需要だけで年間およそ19兆キロワット時に達する可能性があります。これは2025年の電力使用量と比べておよそ4兆キロワット時多い水準であり、データセンター、産業活動、事業の国内回帰がその背景にあります。AIは今や、その需要拡大の一部となっています。2030年までに、データセンターはアジアで新たに増える電力需要全体のおよそ6分の1を消費する可能性があります。つまりAIは、電力システムにとって新たな大口需要として浮上しているのです。この需要に対応するには、大規模な投資サイクルが必要です。アジアの年間エネルギー投資額は、今後5年間で年間およそ1兆1,000億ドルにまで増える可能性があります。その支出の多くは、発電、送電網、蓄電、そしてそれらすべてをつなぐために必要な機器といった、電力システムそのものに向けられます。最大のボトルネックは送電網かもしれません。送電網は、いわば電力のための高速道路網です。発電所をいくら増やしても、その道路が渋滞すれば、電気は家庭や工場、データセンターに届きません。アジアの送電網向け投資需要は、2030年までにおよそ1兆ドル近くに達する可能性があります。変圧器の納期は、場合によっては数年にまで延びており、機器のサプライチェーンがいかに逼迫しているかを示しています。最も難しいのは、1日のどの時間帯でも電気を切らさずに供給し続けることです。ベースロード電源とは、24時間体制で稼働できる電力のことを指します。アジアでは、エネルギー基盤に大量の再生可能エネルギーを追加しています。しかし、この電源は太陽が照るか、風が吹くかに左右されます。だからこそ、石炭、ガス、原子力も引き続き議論の対象となっているのです。蓄電もまた、あると便利なものから不可欠なものへと変わりつつあります。バッテリーは、日中に供給量が増減する際、再生可能エネルギー由来の電力需要を平準化するのに役立ちます。世界のエネルギー貯蔵設備の導入量は、2025年のおよそ500ギガワット時から、2030年にはおよそ3,000ギガワット時へと増える可能性があります。AIを動かすために必要なのは、電力だけではありません。データセンターには電力が必要ですが、それを取り巻くシステムには、信頼できる燃料、送電網、バッテリー、金属、精製設備、貯蔵、そして海運も必要です。電気は、物理的なインフラを通じて発電され、送られ、バックアップされ、供給されなければなりません。だからこそ、このテーマには、送電網向けの銅やアルミニウム、輸送向け燃料精製や石油化学サプライチェーン、さらにはエネルギー安全保障が食料安全保障にもつながることから肥料も関わってくるのです。未来はデジタルに見えるかもしれません。しかし、それを支えるのは、はるかに物理的なものです。すなわち、アジアがここ数十年で経験した中で最大規模のエネルギー増強です。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。



