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弊社グローバル・コモディティ・ストラテジストのマーティン・ラッツが、ホルムズ海峡を通る原油輸送の再開が、市場の想定よりも遅く、かつ供給制約の強いものとなる可能性があるのはなぜかについて解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト:「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社グローバル・コモディティ・ストラテジストのマーティン・ラッツが、中東の生産はどのくらいの速さで回復し得るのかについてお話しします。このエピソードは6月4日にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。ガソリンスタンドに立ち寄るたびに、価格が目に入ってきます。給油機で目にする価格は、ここ数カ月にわたり注視してきた世界的なシステムの、いわば入り口にすぎません。タンカー、貯蔵設備、保険、海上輸送ルートのいずれも、なおホルムズ海峡の影響で制約を受けています。しかし、給油所の価格が依然として高い一方で、ブレント原油価格は実際には1バレル当たりおよそ92ドルまで下がっています。インフレ調整後で見ると、現在のブレント価格は過去20年のちょうど50パーセンタイル 付近にあります。これは、市場が供給は近い将来すっきりと回復する、と見込んでいることを示唆しています。とはいえ、混乱の規模は依然として極めて異例です。湾岸地域の原油のうち、日量およそ1,100万バレルが依然として停止したままで、紛争前のこの地域の生産量のほぼ半分に相当します。弊社は、市場がやや楽観的すぎる可能性があると考えています。現時点での弊社の基本シナリオでは、海峡を通る輸出の本格的な回復が始まるのは7月後半になってからです。しかも、その段階になっても、何かのスイッチを切り替えるように一気に正常化するわけではありません。第一に、船舶が実際に航行する意思を持つ必要があります。船主や保険会社は、その水路が安全だという確信を持たなければなりません。従来の航路に機雷が残っていれば、海峡が技術的には開いていても、処理能力を落として運用される可能性があります。このリスクを取り除くには数週間、場合によっては数カ月かかることもあります。第二に、タンカー船隊が適切な場所にいません。船舶が湾岸地域で稼働できないと、ほかの地域へ移ってしまいます。原油積み出しに必要なだけの空船タンカーを再び戻すには、時間がかかります。第三に、貯蔵能力が制約要因になります。輸出用タンクが満杯であれば、油田は再稼働できません。したがって、海上輸出への依存度が高い産油国にとって、空のタンカーは不可欠です。最後に、油田そのものも再稼働させる必要があります。閉鎖前には、湾岸地域の6つの産油国でおよそ3万6,000本の坑井が稼働していました。このうち現在、およそ1万本が停止しています。ほぼ5カ月に及ぶ生産停止の後では、このうちおよそ4,000〜5,000本の坑井が再稼働時の制約に直面する可能性があります。油層圧力が低下している可能性があり、設備は長期間停止していたことで不具合を起こすこともありますし、フローラインには清掃や安全確認が必要です。総合すると、ホルムズ海峡を通る輸送が再開してから4カ月以内に、失われた供給のおよそ75パーセントはおそらく戻るとみられます。しかし、残る25パーセントが戻るのは、2027年にかなり入ってからになる可能性があります。では、なぜ価格はもっと大きく動いていないのでしょうか。市場は今回のショックを、いくつかの緩衝材を持った状態で迎えました。在庫水準は高く、洋上在庫も多く、緊急備蓄の放出も支えとなりました。米国は、原油および石油製品の海上純輸出を、日量およそ500万バレルから900万バレルへと増やしました。同時に、中国の海上石油純輸入は、1年前の日量およそ1,300万バレルから、直近30日間では日量750万バレル強へと減少しました。しかし、こうした緩衝材は薄れつつあります。戦略備蓄の放出量は、4月から6月にかけての日量およそ250万バレルから、7月と8月には日量およそ70万バレルへと減る予定です。米国のガソリンおよびディーゼル在庫は、すでに過去5年の季節的な低水準を大きく下回っています。中国でも、4月積みから8月積みにかけて、5カ月連続で原油購入が異例に低い水準となる見通しです。ただ、そうなると、中国の買い手が9月積みの原油の購入に戻ってくる確率が高まります。通常、9月積みの購入は6月中旬から下旬に始まります。現在、原油は、まるで混乱がほぼ終わったかのように取引されています。しかし同時に、現物のシステムは、もっと時間がかかることを示しています。画面上では価格は落ち着いて見えるかもしれませんが、ボトルネックはタンカー、貯蔵タンク、坑井、そして作業員にあります。弊社のブレント原油価格見通しは、第2四半期が1バレル当たり110ドル、第3四半期がおよそ100ドルで据え置いています。さらに最近では、第4四半期の予想を95ドル、2027年第1四半期の予想を85ドルへ引き上げており、その後はいずれ1バレル当たり80ドルへ戻ると見込んでいます。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。



