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エネルギーの世界市場が歴史的な混乱に見舞われているにもかかわらず、株式市場は底堅い展開が続いています。これについて弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツは、米国市場は当面堅調な歩みを示すかもしれないとみています。 このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが、市場が発する矛盾したシグナルの解読を試みます。このエピソードは4月10日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。ある面で、事態は依然かなり深刻です。世界はまだ、誇張でもなんでもなく、歴史上最悪のグローバル・エネルギー市場の混乱のさなかにあります。世界の石油生産量の6分の1がホルムズ海峡の奥に閉じ込められていますし、近いうちに手元に届く石油の現物の価格、いわゆる「デイテッド・ブレント」はバレル当たり130ドルを超えています。今年の年初から2倍以上に跳ね上がった計算です。しかし、市場はどうでしょうか。そう、米国の株式と債券の市場は年初とあまり変わらない水準にあります。変動幅は大きいものの、結局は元に戻るという展開なのです。相場をたまにしかチェックしない投資家なら、この週末にポートフォリオをざっと見て「2026年は本当に退屈な相場だな」と考え、テレビでマスターズ・トーナメントの続きを楽しんでも許されるかもしれません。これはどう辻褄をあわせればよいのでしょうか。株式市場にとっては、2つの動きが重要です。第1に、石油価格の高騰にもかかわらず企業の、特に米国企業の業績見通しは引き上げられ続けています。あくまで見通しですので、外れるかもしれません。ですが、特にテクノロジー関連の投資が継続していることを背景に、アナリストは少しずつ楽観的になっています。また、株式投資では基本的に将来が問題になります。足元の株価は今日から未来までの、そうですね、これから未来永劫獲得される利益のすべてを現在価値に引き直した値を反映しているはずです。そのため数学的には、長期的な見通しが上向きであれば、向こう3ヵ月間の見通しが、たとえばエネルギー市場の混乱のせいで下向きであっても、それほど問題にはなりません――あくまで数学的にはですが。足元の債券市場はこれとは対照的で、相反する2つの非常に強い力に挟まれてしまっています。関税と石油を原因とするインフレ率の上昇は、債券市場の典型的な悪材料です。ところが経済成長が損なわれるリスクが高まれば、債券相場は好調になることが多いのです。したがって、ここでカギになるのは、エネルギー・ショックが長引き、ついには中央銀行が足元で高まっているインフレ率よりもその後の経済成長失速のリスクのほうを重視せざるを得なくなる展開になるかどうかです。2026年は、市場の総合的な指標の変化が小さいにもかかわらず、これまでのところ少しも楽な年ではありません。弊社モルガン・スタンレーのデータからも、3月は株式ヘッジファンドにとって過去10年で2番目に悪い月だったことがうかがえます。そこで、ここではいくぶん謙虚に3つの点に着目してみます。第1に、米国の株式と債券には、今のところは諸外国の株式や債券よりも有利な点があると弊社では考えています。米国企業の増益率は高めです。米国経済はエネルギー市場が変動しても比較的打撃を受けません。そして米国の中央銀行FRBは、経済成長にもっと弱さが出てくれば早めに利下げに踏み切る公算が大きい、と弊社ではみています。第2に、債券市場は最終的には今よりも低い利回りの水準で落ち着くと弊社ではみています。中東の紛争の解決が早まればインフレのリスクは低下するでしょうし、エネルギー市場の混乱が長引けば経済成長の大きな重しになるからです。ある意味で中途半端な現在の金利水準は長続きしないように思われます。第3に、ボラティリティが大きいときでも相対バリュエーションはやはり問題になりますし、興味深いこともまだ見受けられます。たとえばアジア地域のクレジット・スプレッドは、石油価格の高騰から受ける影響の大きさの割には、極めてタイトであるように思われます。そして対照的に、私の同僚マイク・ウィルソンが先日のこのプログラムで述べていたように、大型テクノロジー株は大幅に安くなっており、今では一般消費財・サービスセクターと同様なバリュエーションで売買されています。エネルギーへのエクスポージャーが低く、増益率もざっと3倍であるにもかかわらずです。不確実な週末が再びめぐってきます。しかし、弊社ではこれを切り抜ける試みの一環として、米国市場を選好し、利回りの低下を予想し、かつ相対価値に的を絞り続けようとしています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。



