Show notes
三月になると、太陽の光が力を取り戻したかのように景色が明るく見えてきます。三行ずつ六連で構成されるこの詩は、永瀬さんのさりげない工夫があります。第一連は、春そのもののあふれるような光を放っているのですが、連が進むにつれて日が陰っていくように光が弱くなり夕ぐれになるのです。また第一連では「猫柳にさわるように美しい」指が、最後の連になる「いまあるのは私の骨 私の震え」と、柔らかな指から肉が落ちて硬い骨となっています。つまり、若かった日の回想から始まり年を重ねた今の「私」を、光の強さや体の硬さで象徴的に表現しているのです。暖かい三月。光あふれる三月。だからこそ「私」の今がくっきりとして見えてきます。年を重ねたからこそ書ける永瀬さんの詩の境地ではないでしょうか。 <文・白根直子>

