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弊社グローバル・チーフ・エコノミスト兼マクロ・リサーチ責任者、セス・カーペンターが、年央時点の見通しを解説します。エネルギーショックが続く中でも、なぜAI投資と米国の消費者が引き続き成長の重要な原動力であるのかを論じます。このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社グローバル・チーフ・エコノミスト兼マクロ・リサーチ責任者、セス・カーペンターが、弊社が出版したばかりのアウトルック、年央見通しについて解説します。このエピソードは5月14日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。足元では、原油、AI、そして消費者が、弊社の世界経済見通しの中心にあります。米国ではAIと消費者が景気の勢いを支えていますが、焦点となるのは、今回のエネルギーショックが管理可能な範囲にとどまるのか、それともインフレや中央銀行の政策運営、さらには景気後退リスクの道筋を変えてしまうのか、という点です。弊社はこれまでも、そして現在も、世界成長に対して基調として前向きな見方を維持しています。ただし、今回のエネルギーショックは、例外的に高い不確実性をもたらしています。インフレを押し上げ、成長の重しとなり、想定される結果の振れ幅も広げます。弊社では、世界の実質GDP成長率を2026年は3.2%、2027年は3.4%と予想しています。これは、2025年のおよそ3.5%と比べるとやや鈍化する水準です。したがって、弊社の基本ケースでは、成長率は今年、緩やかに減速した後、安定し、回復に向かうとみています。見通しを作成するのは常に難しいものですが、足元では原油価格をどのように前提置きするかが、これまで以上に難しくなっています。弊社の基本ケースでは、原油価格は年末までに1バレル当たり90ドル程度まで戻り、その後2027年にはさらに低下すると想定しています。もし、あくまで「もし」そうなれば、世界経済はこのショックを吸収できる可能性が高いと考えられます。しかし、現在の状況が続き、原油輸送の正常化が見られなければ、景気後退につながるおそれがあります。その場合、原油価格は1バレル当たり150ドルを超えて急騰する可能性がありますが、より重要なのは、価格ショックから供給量ショックへと局面が移る可能性がある点です。最大のリスクは、実際の供給不足とサプライチェーンの混乱です。なぜなら、問題はエネルギーにとどまらず、製造業に必要な石油化学由来の原材料や、その他のさまざまな品目にも及ぶからです。価格上昇は経済活動を鈍らせますが、不足が起これば、活動そのものが止まってしまう可能性があります。エネルギーショックへのさらされ方は、地域によって大きく異なります。主要経済圏の中では、中国が最も影響を受けにくいとみられます。最も影響を受けやすいのは欧州で、米国はその中間に位置します。中国は原油在庫をかなり積み増しており、ここまで世界の原油市場で価格が一段と上がっていない背景の一つには、中国が原油輸入を大幅に減らしていることがあります。一方の欧州では、通常、エネルギー価格の転嫁がより速く進みます。つまり、エネルギー価格の上昇が家計の光熱費や企業コスト、そして最終的にはインフレに、より早く反映されやすいということです。また、欧州はエネルギーの純輸入地域であるため、考慮すべき対象は原油だけでなく、天然ガスにも及びます。米国は石油製品の純輸出国ですが、それでも米国の消費者はガソリン価格の上昇による負担を感じることになります。それでもなお、米国の成長は引き続き世界成長を支えるとみています。その主な理由は、AI関連の力強い設備投資と、資産保有額の大きい層に支えられた個人消費です。弊社では、この勢いは今後も続き、やがてより幅広い分野へと広がっていくと見込んでいます。こうした見方から、米国の実質GDP成長率は2026年におよそ2.25%、2027年にはおよそ2.5%へ上昇すると予想しています。いずれも、 去年 昨年の2.1%を上回る水準です。そして、この米国見通しの中核にあるのが、AI関連の設備投資です。これには、データセンター、電力インフラ、情報処理機器、ソフトウェアが含まれます。時間の経過とともに、この投資の勢いが、AI以外の分野にも企業投資が広がっていく土台の一つになると、弊社では考えています。もっとも、このエネルギーショックは世界的なインフレを引き起こしています。弊社では、世界の総合インフレ率は2026年にかなり上昇し、3%近くまで達した後、2027年には再び落ち着くとみています。ただし、原油やガス価格の上昇が総合インフレを押し上げている一方で、そのコアインフレへの波及は、経済圏によって差はあるものの、総じて限定的にとどまるようです。2027年までには、こうした影響は薄れていくとみています。加えて、今年の成長がやや鈍化することもあり、基調的なインフレは再び和らぐ見通しです。もっとも、インフレリスクが高まる中で、中央銀行は総じて緩和的な姿勢を弱めています。弊社では、FRBは2026年を通じて政策金利を据え置き、その後、実際にインフレが低下すれば、2027年前半に2回の利下げを実施できるとみています。欧州中央銀行(ECB)については、エネルギー主導のインフレに対応するため、今年2回の利上げを行った後、2027年には方針を反転させると予想しています。すでに利上げを進めてきた日銀については、緩やかな利上げ路線を今後も続ける可能性が高いとみられます。もっとも、今年後半を展望すると、世界成長にはなお土台があり、その大きな部分を米国が支えています。足元では、AI投資と個人消費が経済を動かす原動力となっています。ただ、その先の道のりがどの程度波乱を伴うものになるかは、エネルギーを巡る先行きに左右されるでしょう。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。



