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中東で起きている紛争の影響はアジアのエネルギー、電力、そして食料の各システムにどのように波及しているのか。弊社アジア・エネルギー・アナリストのマヤンク・マヘーシュワーリーが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、インドおよび東南アジアのエネルギー市場を担当する弊社のリサーチ・アナリスト、マヤンク・マヘーシュワーリーが、イランとホルムズ海峡に関係する混乱がどのような過程を経てエネルギー関連の混乱をアジア全域で引き起こしているのかをお話しします。このエピソードは3月23日 にシンガポールにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。インパクトの大きさがわかるように、簡単なファクトから話を始めましょう。石油、液化天然ガス(LNG)、プロパンガスなどのアジアのエネルギーは、およそ 約4分の1が中東から供給されており、その大半がホルムズ海峡という交通の要衝を通ります。この要衝で混乱が生じると、その影響が及ぶ範囲は石油の価格にはとどまりません。アジア全域の発電、工業生産、さらには食料のサプライチェーンまでもが打撃を被ることになります。エネルギーにアクセスできない正真正銘のショックを、アジアは50年以上経験してきませんでした。そのため、今回の事態は極めて重要です。また石油価格がバレル当たり100ドル前後にまで上昇しており、システムのストレスが高まっています。ディーゼル燃料の精製マージンは紛争前の水準の2倍に広がり、ジェット燃料の精製マージンも2倍近くに拡大しました。そして、昔から北海ブレント原油よりも安価であるのが普通のドバイ原油が、今ではバレル当たり20ドル超のプレミアムが乗った状態で取引されています。この種の値動きは、サプライチェーンがひっ迫していることを示しています。アジアは中東に深く依存しています。アジアの石油精製業者は原油の最大80%を中東から調達しており、輸入されるLNGも30~40%が中東産です。インドや中国といった経済大国では、石油需要のおよそ約40~50%がホルムズ海峡経由で満たされています。この海峡は決定的に重要なエネルギー・ハイウェイです。したがって、その流れが滞れば、システム全体の動きが滞ってしまいます。在庫があるためショックは緩和されるように見えるかもしれません。ただ、システムは在庫がなくなるまで待ったりせず、早めに対策を打ち始めます。政府はすでにエネルギーの配給に動き出しており、産業界はLNGと液化石油ガス(LPG)の使用を減らしています。輸出規制により、石油業界の川下部門での燃料生産も制限されています。引き締めはすでに始まっているのです。本当の弱点は石油ではなく天然ガス、特にLNGなのかもしれません。アジアのLNGの大口供給者であるカタールで、インフラが打撃を被っているからです。アジアのLNG消費量は世界全体のおよそ半分にあたり、その最大40%を中東から調達しています。また石油とは異なり、LNGのショックを和らげる仕組みは非常に限られています。その在庫は月単位ではなく、日単位で数えられているほどです。ここでこの話はエネルギーの枠を大きく超えて広がります。年間およそ2500万トンに達する石油化学製品の生産能力と、ざっと1000万トンの肥料の生産能力にも影響が及んでいるのです。ポリマー(高分子)のような主要素材の価格はわずか数週間で15~25%上昇しており、プレミアムはまだ拡大しています。こうした動きは乗用車、電子製品、包装資材、農業資材など日々使用されるさまざまな製品に波及します。基本的なサービスでさえ影響を受けており、アジアの一部では調理用ガスの不足が飲食店を直撃しています。こうした事態には政策当局も対応していますが、取りうる選択肢には限りがあります。これまでに国家備蓄からおよそ1億バレルの原油が放出されました。輸送途中の割高なLNGの確保に動いている国もあります。環境には有害ながらも確実性のある石炭に回帰する国も少なくありません。究極的には、足元の混乱が長引けば長引くほど、エネルギー、電力、化学、食料生産の各システムに加わる圧力が強くなります。そして、アジアのように外部との結びつきが強く輸入依存度の高い地域では、こうした影響は迅速に、かつ幅広く波及していくのです。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。



