市場の風を読む
市場の風を読む
Morgan Stanley
旅行が中国の新たな成長エンジンに
6 minutes Posted Mar 3, 2026 at 8:00 am.
0:00
6:16
Download MP3
Show notes
弊社香港・中国運輸およびインフラ・アナリストのチエンレイ・ファンが、パンデミック後の反動的な回復局面から、複数年にわたる拡大局面へと移行しつつある中国の旅行産業について解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト  「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社香港・中国運輸およびインフラ・アナリストのチエンレイ・ファンが、中国経済のリバランスにおいて、なぜ旅行が急速に主要なけん引役の一つになりつつあるのか、その見解をお話しします。このエピソードは3月3日 に香港にて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。私は旧正月の休暇で中国本土を旅行し、つい戻ってきたところです。史上最長となった春節休暇の期間中、人々は外に出て歩き回り、探索し、笑い合っていました。国全体が、限られた時間を思い切り楽しもうという熱気に包まれているように感じられました。文化観光部の統計によると、この連休期間中の国内観光消費額は前年同期比で19%という力強い伸びを記録しました。実際、中国の観光産業は、単にパンデミック後の反動的な回復にとどまっているわけではありません。政策面での追い風、人口動態の変化、そして「モノ」から「体験」へと消費が明確にシフトしていることに支えられ、構造的により強い成長局面へと入りつつあります。2030年までに、観光収入は12兆元、米ドル換算でおよそ1兆7,000億ドルに達する可能性があります。これは2020年代半ばから年率11%の成長を意味します。今後5年間で、国内とインバウンドを合わせた累計収入は50兆元、米ドルで7兆2,000億ドル規模に近づくと見込まれます。この規模を考えると、旅行はもはや景気循環に伴う一時的な回復ではなく、中国における消費主導型成長の中核をなす柱になりつつあります。弊社では、観光産業のGDP比率が、2024年の4.8%から2030年にはおよそ6.7%まで上昇すると予想しています。国内旅行が引き続き基盤です。人々は単に再び旅行を始めたのではなく、以前にも増して頻繁に旅行するようになっています。政策も需要を後押ししています。祝日の延長、新たな学校休暇、イベントを軸とした観光が活動を押し上げています。2025年だけでも、およそ3,000件の大規模公演が開催され、延べ4,300万人以上を動員しました。支出面にもその変化は表れています。2025年の国内観光消費額は6兆3,000億元に達し、コロナ前の水準をおよそ11%上回りました。1回あたりの旅行支出はやや減少しているものの、旅行頻度の増加が全体の収入を押し上げています。海外旅行は、第2の成長エンジンとして台頭しています。2030年までに、インバウンド旅行は観光収入全体の16%を占める可能性があります。2025年後半には、主要都市における訪中外国人の増加率が前年比でおよそ30〜50%に達しました。これは、現在では外国人入国者の大半を占めるまでに拡大したビザ免除措置の後押しによるものです。こうした旅行者は滞在期間が長く、消費額も多い傾向があります。アウトバウンド旅行も力強さを増しています。2025年の国際線航空需要は22%増と、国内線の伸びを大きく上回り、現在では航空会社収益において無視できない割合を占めています。人口動態とテクノロジーも、この流れを後押ししています。若年層の消費者は旅行を重視しており、また、多くの貯蓄を持つ高齢世帯も、サービスの質が向上するにつれて支出を増やし始めています。同時に、スマートホテル、バーチャルリアリティを活用した観光施設、データ主導の運営といった取り組みが、顧客体験と支払意欲を高めています。これは単なる繰り越された需要ではありません。政策、人口動態、テクノロジー、そして供給が同時にかみ合い、中国の消費ストーリーの中心に旅行が位置づけられているのです。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。