市場の風を読む
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Morgan Stanley
AIに対する不安の中で、なぜ株価は上昇し続けるのか
7 minutes Posted Feb 24, 2026 at 8:00 am.
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弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、投資家の間でAIを巡る懸念が高まる中でも、依然として株式市場が成長サイクルにあると考える理由を解説します。 このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト  「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが登場します。今回は、AIによるディスラプションを巡る最近の懸念についてお話しします。このエピソードは2月24日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。先週の市場の底流には不安感が漂っていました。短期的な混乱を招くニュースが相次ぎ、ボラティリティは上昇し、そしてAIによるディスラプションが、再び投資家の会話の中心になりました。しかし、その表面的な不安の裏側で、重要な出来事がありました。S&P500イコール・ウェイト指数が相対的な高値を更新し、「市場の裾野が広がる」という弊社の見方は堅持されました。投資家は一方では、AI主導のディスラプション、設備投資集約度の高さ、そして労働力削減の可能性について懸念しています。他方では、これまで出遅れていた分野に資金が流入し続けており、中央値銘柄の利益成長率は過去4年間で最も力強い水準に達しています。詳しく見てみましょう。まず、AIが雇用喪失につながるのではないか、という懸念があります。しかし、たとえそうだとしても、通常は段階的な移行期間があります。企業が一夜にして労働力を削減することはありません。重要なことに、こうした生産性向上が本格的に実現するには、企業全般が幅広くAIを導入する必要があります。そのためには、エージェント型アプリケーションのレイヤーを構築し、AIを業務フローに統合し、システムやプロセスのトレーニングをやり直す必要があります。これには時間がかかりますし、その意味では、現在はまだ初期段階にあると言えます。次に、現在見られる動きは、大規模な投資サイクルに典型的なものです。市場が奔放な支出ペースに疑問を抱く局面では、ボラティリティが高まります。勝者と敗者をめぐる議論が活発になることで、銘柄間のばらつきも大きくなります。時には市場をリードする銘柄が、急激に入れ替わることもあります。また、今回は1990年代後半のインターネットバブル期とは異なる点があります。現在は、景気回復の初期段階に伴う企業利益の伸びが期待できる環境にあります。2022年から2025年にかけて、実質的には「ローリング・リセッション」とも言える局面を抜けたばかりだからです。そのため、構造的な敗者と見なされる分野から資金が移動する際、長期的なAIの恩恵を受ける銘柄を追いかけるだけでなく、伝統的な景気敏感株にも資金が向かっています。逆風を受けているのは、長期的なサービス志向のセクター、とりわけソフトウエア分野です。こうした分野は、中長期的なキャッシュフローの不確実性に対して敏感です。また、過去10年から15年にわたって投じられてきた多額のプライベートキャピタルが重石になっています。さらに、他にもいくつかの要因があります。小型グロース株、これは市場の中でも恐らく最も長期的な性格を持つセグメントと言えますが、1月下旬、ケビン・ウォーシュ氏が次期FRB議長に指名された頃から下落基調に入りました。主要株価指数がほとんど反応しなかった一方で、より投機的な分野は、FRBのバランスシート縮小に積極的と見られるウォーシュ氏の姿勢を背景に、流動性が引き締まるとの見方に反応している可能性があります。加えて、一般に新しいFRB議長が就任する局面で株式市場のボラティリティは高まりやすい傾向があります。結論として、「ローリング・リカバリーの初期段階」という、弊社のより大局的な見方に変わりはありません。指数全体の動きが不安定に感じられる局面でも、市場の内部要因は下支えとなっています。ただし、季節的に小売需要が弱い時期に入ることや、流動性は十分にあるが、決して豊富とは言えない状況を踏まえると、目先はボラティリティが持続する可能性があります。こうした環境では、質の高い景気敏感株とヘルスケア株を組み合わせた「バーベル型」のポートフォリオが有効と考えます。小型株では、ラッセル2000よりも、質の高いS&P600の方が魅力的に見えます。また、短期的なボラティリティがあれば、一般消費財、資本財・工業、金融といった、選好する景気敏感分野に対するエクスポージャーを増やす好機となる可能性があります。もちろん、リスクは残っています。AIの導入が予想より大幅に加速すれば、労働市場により急激な圧力がかかる可能性があります。効率向上の裾野が広がり、価格決定力が低下するかも知れませんし、政策担当者が設備投資サイクルを減速させるような対応を取る可能性もあります。その一方で、モメンタム投資は資金が集中し、依然として脆弱です。それでも、市場内部からのシグナルは明確です。この局面は、市場が天井を打って下落に転じるというより、景気拡大の初期段階を確認する動きに近いように見えます。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。