引き続き「経営リーダーのための社会システム論: 構造的問題と僕らの未来(宮台真司さん×野田智義さん)」を扱っていきます。
最初に断っておきますが、今回は濃いです。
ノート片手にお聞きください。
全体を通して、3つのキーワードをベースにお話していきます。
こちらを念頭に置いてお聞きいただければ。
【キーワード】
・安全快適便利なのになぜ生きづらいのか
・我々意識
・ミクロな共同体から社会を再構築する
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【日本の生きづらさ】
まずは、ここ60年ほどの日本がどういう状態にあるのかを確認していきます。
今の日本は、安全で快適で便利な国と言えるでしょう。
ですが一方で、孤独死や貧富の差、カルト宗教など、問題も多数抱えています。
この原因は、システムに過度に依存しているからだとしています。
システムとは、人に任せたりお金を払ったりすることで、面倒くさいものを排除する仕組みのことです。
要はビジネスやサービスの領域のことですね。
社会がシステム化し、人々がそれに依存していく流れはもはや逆らいようがありません。
資本主義が世の中全体に浸透していくのと同じように不可逆的な流れです。
一度システムの内部に取り込まれると、なかなか抜け出せなくなってしまう。
極端な話、仕事を辞めて田舎で自給自足を始める、ほどのエネルギーが要ります。
この60年、日本ではシステム化が進んできましたが、そこには三段階あった様子。
一つ目が、団地の出現による地域の空洞化。
二つ目が、コンビニによる家族の空洞化。
三つ目が、インターネットによる人間関係の空洞化。
人々はシステム化により便利と快適を得た半面で、感情の劣化を起こし始めている可能性があります。
他者への思いやりや共感だけでなく、自分自身への尊厳も持ちづらい社会になってきました。
とは言え、システム化って、ビジネスの中では目指すべき方向性ですよね。
仕組み化がうまい管理職は高い評価を受けますし、ビジネスを構築するときには脱俗人化は鉄則です。
たとえばコロナ禍のAmazonは過去最高益を出しましたが、その理由の一つが仕事の仕組み化による採用難度の低下だともいわれています。
企業にとっては、システム化は至上命題の一つでもあります。
こんなことを考えると同時に、人々の感情が劣化していく、という警鐘にも納得する面もありますよね。
代替可能な仕組みの中で働いていると、自分のアイデンティティを声高に訴えたくなる衝動もあります。
Youtuberたちがこどもたちの人気職業になる理由もそのあたりにあるのでは?
また、アジアの方に行った後日本に帰ってくると、システム化された社会の快適さを猛烈に意識することがあります。
人間対人間の信頼構築、値踏み、時には脅しなどにより、受けられる便益が変わる社会の不確実さが存在する社会と、
システム化されてコミュニケーションを介さなくてもムダに高品質なサービスが受けられる社会と。
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【我々意識】
こうした社会が、実は18世紀ごろにはすでに予言されていた、って知っていましたか?
ルソーやアダムスミス、マックスウェーバー、マルクスたちは、資本主義の行く末を当時からすでに予測していたんです。
たとえばルソーが掲げた理想の社会像は、こんな感じ
・みんなでみんなを統治する
・我々意識(感情)を劣化させないために2万人規模を上限とする
・直接民主制(多数決は禁止)
当時からすでに行き過ぎたシステム化による感情劣化については、予測されていたようです。
ルールが浸透し切った社会では、各個人が感情を使って判断する必要がなくなる、ということですね。
また、ブローバル化により戦争を起こすリスクが高まる中で、国としての一体感が失われつつある、ということにも触れています。
少々刺激的な言い方ですが、戦争が起こしづらくなると国家としての我々意識が保てなくなるそう。
その結果経済格差が生まれ、富裕層は自分たちだけよければ構わない、という判断をするようになる。
居住地を国外に移して税金対策をする富裕層が出てきたりするわけです。
こうした問題に対して、ヨーロッパ型とアメリカ型の対応があるようです。
ヨーロッパ型の対策は、人間であることに期待する手法。
対してアメリカ型は、徹底したシステム化により対応するようです。
特に印象的だったのが、システム化により尊厳を保てなくなった労働者に対しての対策です。
一時的に感動できたり興奮できたりする祝祭体験を、これもシステム化の中に組み込むんだとか。
ディズニーワールドやイベントなどがそうした役割を果たしているのかもしれません。
また、カウンセリングが一般化しているのも、その対策の一環だとか。
いずれ貧困層はコントロールしやすいように、AR・VRの世界の中だけで生かされる時代が来るのかもしれません。
テクノロジー重視・システム的な考え方を推進する加速主義的な考え方が主流になると、こんな未来も現実味を帯びてくるかも、ですね。
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【ミクロな共同体から社会を再構築する】
ここまで少し悲観的な世界の話をしてきましたが、それだけでは終わりません。
我々はここからどうしていけばいいのか、ということにも触れていきます。
その方針を一つの文章にまとめると、こんな感じです。
「食べ物とエネルギーをテーマにしたテクノロジープラットフォームを中核とするシステムに支えられたミクロな共同体が人間関係を再構築していく」
一人ひとりが自分にとっていい社会をイメージし、そこにいてほしい仲間を定義していくことが大事。
大きな国をつくれというわけではなく、数十人~数万人単位のお互いを思いやれるミクロなコミュニティをつくっていくこと。
例を挙げると、
荒谷大輔さんが提唱されているハートランド。
イギリスのインクレディブルエディブル。
デンマークのサムセー島。
こうしたコミュニティの運営を通して、お互いのことを考えられるようになることが、未来に向けての最初のステップである、としています。
そうした組織の中では、言い出しっぺ的なリーダーはもちろんのこと、ファシリテーター的なリーダーが大きな役割を果たすことになる。
そこに求められるのは、能動的でも受動的でもなく、中動的なリーダー。
「いつの間にか仲間になっちゃった」をつくれるリーダーです。
きっと、読書の時間を聞いていただけている皆さまなら、このあたりのリーダー像に共感を持つんじゃないでしょうか。
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少し長くなりました。
しかも途中で異音が入ってしまっていますが、
(飛行機かなんかでしょうか)
今回もお聞きいただきありがとうございます。
改めてご説明ですが、これは至善館でおこなわれている授業ですからね。
興味を持たれた方は至善館もチェックしてみるとよさそうです。
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また皆さんのご意見もお聞かせください。
ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、こちらまでDMをお寄せください。

