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アジアではAI関連の投資だけでなく、エネルギーや防衛関連の投資も加わって数十年ぶりの強力な産業サイクルの原動力になる可能性があります。弊社アジア・チーフ・エコノミストのチェタン・アハヤがご説明します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は弊社アジア・チーフ・エコノミストのチェタン・アハヤが、アジアが2000年代半ば以来の強力な産業サイクルに向かっている理由についてお話しします。このエピソードは5月26日 に香港にて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。アジア市場の話題はAIに偏って、いえ、ほとんどそれだけに集中しています。しかしながらAIは、この地域で起きているもっとすそ野の広い変化のひとつの側面にすぎません。弊社では、アジアが産業スーパーサイクルに入りつつあると考えています。その原動力はAI関連、エネルギー、防衛、そしてより広範囲な産業分野における設備投資の継続的な増加です。裏付けとなる数字は巨大です。弊社では、アジアの設備投資額の合計が今日のおよそ 約11兆ドルから2030年までには16兆ドルに伸びると予測しています。今後5年間に年率7%の成長を遂げる計算になりますが、この伸び率は過去2年間の3倍に当たるハイペースであり、非常に大きな意味を持ちます。しかもAI関連、エネルギー、防衛、そしてより広範囲な産業などの高成長分野の設備投資は、年率およそ 約16%というさらに速いペースで伸びていくと弊社では予想しています。では、これらの原動力についてひとつずつお話ししましょう。この勢いを支える一番の原動力がAI関連であることは間違いありません。アジアはAIインフラへの投資をさらに増やす必要があります。それと同時に、アジアの半導体チップやメモリのメーカーは、データセンターの建設を急ぐ米国のハイパースケーラー各社の需要に応えるべく、設備投資を拡大させています。2つ目の原動力はエネルギーです。アジアは今、AIの電力確保、エネルギー移行、エネルギー安全保障という3つの理由から、エネルギー・セクターに投資しなければならない状況になっています。AIのコンピューターによる電力需要は指数関数的に増えていますし、各国は再生可能エネルギーへの移行も進めなければならず、送配電網、蓄電施設、発電機などへの投資増額が必要不可欠になっています。さらには、昨今の地政学的緊張を受けてエネルギー安全保障政策の優先順位も引き上げられています。輸入エネルギーに依存しているアジアにおいては、特にそうです。3つ目の原動力は防衛です。昨今は中東情勢が緊迫の度を増していますが、実はそれ以前からアジアの防衛予算は増加しつつありました。今年は中国が、GDP成長率を上回るペースで防衛費を増やす計画を立てています。またインドも今年、防衛関連の設備投資への予算配分を18%増やしました。同時に日本、韓国、台湾でも防衛費増額の動きがあり、実行されればその合計の対GDP比は およそ 約1.7%から3%に拡大します。4つ目の原動力はより広範囲な産業分野への投資です。アジアではどの国・地域も自国のサプライチェーンの安全確保に取り組んでおり、国内での生産活動に欠かせない重要な投入財の生産能力の国内回帰、すなわち「オンショアリング」に力を入れています。では、以上のことはアジアにとって何を意味するのでしょうか。それは、この地域が設備投資増加の恩恵を2度享受しそうだということです。第1に、アジアで設備投資が増えればアジア自体の産業サイクルが活気づきます。第2に、アジアが世界の工場であることを考慮しなければなりません。先ほどお話しした分野への設備投資が世界のほかの地域で増えるにつれて、アジアはその需要に応えることからも利益を得るのです。力強い産業サイクルが起きる証拠は、すでに目に見えるものになっています。弊社では設備投資の代理指標として資本財輸入に注目していますが、この指標が金額ベースで前年比27%という非常に高い成長を遂げているのです。工業生産高の伸び率も4年ぶりの高さに近づいています。そして工業生産高の観点で重要な非テクノロジー関連の輸出も、 去年 昨年第4四半期以降、力強い回復を遂げています。では今後、アジアのどの国が恩恵を享受するのでしょうか。正確に言えば、すべての国が享受します。ただ、最大の受益者は中国、日本、韓国、そして台湾でしょう。国内需要と輸出需要の両方に応えるからです。一方、インドの産業は主に国内の設備投資サイクルの恩恵を受けます。また、アジアの工業生産が上向きになったことは産業向けコモディティの価格を押し上げており、アジアのコモディティの2大輸出国であるオーストラリアとインドネシアの追い風になっています。アジアの経済成長物語の次の章は、ほかの部分にも浸透していくことでしょう。設備投資の増加は雇用・所得の増加につながり、さらには消費者にも届いていくのです。これこそが、話がAI関連だけにとどまらない理由です。これはアジア全体の、すそ野の広い景気回復につながっていく話なのです。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。



