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モルガン・スタンレーMUFG証券日本株ストラテジストの中澤翔が、日本株の現在の反発を牽引しているセクターと、上昇が単なる循環的回復にとどまらない可能性について解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 皆さま、こんにちは。「市場の風を読む」へようこそ。モルガン・スタンレーMUFG証券日本株ストラテジストの中澤翔です。本日は、高市政権が今後数年にわたり日本株市場をどのように方向付ける可能性があるのかについてお話しします。本日は、東京時間で3月17日火曜日の午後3時です。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。2025年10月21日、高市早苗氏は日本初の女性首相に就任しました。防衛力の強化と経済の強靭化を重視する保守政権の誕生です。そして2026年2月に本格始動した高市政権は、日本経済の構造的転換の始まりを明確に示すものとなりました。市場はこれに迅速に反応しています。過去数か月間で、政権が掲げる17の重点戦略分野へのエクスポージャーが高い銘柄群は、TOPIXを約15%ポイント上回って推移しました。これほどのパフォーマンス格差は、単なる循環的回復を超えた動きを示唆しています。資本は、構造変化を織り込み始めていると考えられます。まず、日本政府は経済安全保障およびサプライチェーンの強靭化を一段と重視しています。これは単なる政策変更ではなく、根本的な前提の転換です。これまでのグローバル経済では、「効率性」が最優先されてきました。ジャスト・イン・タイム型の供給網や、グローバル最適化モデルがその象徴です。しかし、パンデミックや世界の多極化の進展を受けて、考え方は大きく変わりました。現在は、「冗長性」と「自律性」が重視されています。この転換は、防衛・宇宙、先端素材・重要鉱物、造船、サイバーセキュリティといった分野に直接的な影響を及ぼしています。構造的変化の第2の柱は、AIおよびコンピューティング革命です。一部の投資家はAIへの過剰投資を懸念しています。しかし、AIの技術的ブレークスルーが進めば、リターンは非線形的に拡大する可能性があります。重要なのは、AIは単なるソフトウェアではないという点です。データセンターの冷却設備、通信ネットワーク、拡張された電力網、重要鉱物など、広範な産業基盤を必要とします。これは「産業スタック全体の高度化」と言える動きです。さらに長期的には、世界のヒューマノイドロボット市場は2050年までに年間7.5兆ドル規模へ拡大する可能性があると弊社のグローバルロボティクスチームはみています(Robotics: Humanoid Horizons: What to Watch for 2026)。これは、2024年時点での世界上位20社の自動車メーカーの合計売上高(約2.5兆ドル)の約3倍に相当します。産業構造そのものを塗り替えるポテンシャルを秘めています。日本市場を再形成する第3の力はインフラです。2026年度予算では、国土強靭化関連支出が5兆円を超えています。老朽化インフラの更新や自然災害の激甚化を踏まえると、強靭化投資は経済安全保障と直結します。港湾、物流、通信システムは、戦略的資産としての性格を強めています。また、1980年代後半のバブル期に建設された建物が建て替え時期を迎えつつあり、長期的な建設サイクルは拡張局面に入りつつあります。これは一時的な需要増ではなく、持続的な需要基盤を示唆しているとみています。重要なのは、株式市場におけるリーダーシップの広がり方です。一般に、物色は川上から川下へと波及します。素材や電力インフラから始まり、AI、防衛・通信へと広がり、最終的には創薬、量子技術、サイバーセキュリティ、コンテンツなどの応用分野へと波及する傾向があります。直近3カ月で最も高いリターンを示しているのは、先端素材・重要鉱物、および次世代電力・送電インフラです。一方、サイバーセキュリティやコンテンツ関連は出遅れていますが、産業ネットワーク上の結び付きは強く、物色が広がる局面では重要な役割を果たす可能性があります。真の制約要因は政治的反対ではありません。市場そのものです。投資家がこれを一時的な景気刺激策と捉えるのか、持続的な利益成長と評価するのかによって、バリュエーションは大きく変わり得ます。私たちは、日本株市場は単に上昇しているのではなく、経済安全保障、AIインフラ、国土強靭化を軸に再編成、リオーガナイズされつつあると考えています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。



