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バレンタインデー(2月14日)が明けた15日朝、百貨店、スーパー、コンビニエンスストアなどの売り場は桃の節句(3月3日)、ホワイトデー(3月14日)向けに見事に早変わり。売り場は一気に春めく。米国や欧州の小売業で、全国的な一夜城作戦は展開できるとは到底、思えない。クリスマスが終わっても、サンタが埃(ほこり)をかぶり、売り場の片隅に鎮座しているのをよく見かける。どっちが丁寧できめ細かな店舗運営をしているかと問えば、日本の小売業に軍配が上がるのは間違いない。だが、国別の小売業の生産性を比較すると日本は分が悪くなる。はたして本当に日本の小売業は「生産性」が低いのだろうか。
「現場で販売計画を作成しても、実際にその計画で走り出すとすぐ本社から『待った』がかかる。そして本社から具体的な指示が出るまで待っていると、商機を逃したころに指示がさみだれ式に飛んでくる。判断が遅く、さらに計画値との乖離(かいり)が広がっているので、本部からは乖離の理由の報告を求められる。この繰り返し」。最近まで首都圏のスーパーで店長をしていた中堅幹部はこんな苦い経験を吐露する。
なぜ、日本の小売業は欧米に比べて利益率、生産性が低いのか。光熱費や土地代などインフラコストが米国などに比べて高く、利益を圧迫している面は否めない。ただ、現場の人材が優秀なため、もろもろの対応を現場任せにしてきたきらいはある。経営陣も昔は現場にいたが、出世の階段を上ると現場感は薄れる。消費の変化は激しく、かつての現場感で指示を出すと的外れになる。それでも現場はまだ対応力があるから善後策に懸命に取り組むが、長くは続かない。徒労感だけが残るからだ。
(日経ヴェリタス2023年2月19日号に掲載)

